読書感想『およね平吉時穴道行』

半村良の短編集。
半村熱に火が点いたので以下略。

デビュー作にあたる『収穫』が収録されているということで購入。
無人の街を探索するシーンを読んでいると、
小松左京の『こちらニッポン…』を思い出した。
あれも面白かったなー。
『酒』みたいなさりげないアイディアの話もけっこう好き。
『虚空の男』もただの謎解きに留まらないあたりが良い。
謎解きに並行して夢を喪った男の姿、
仕事に対する価値感等が描かれることで、
読後感が多段構造で一層深くなってるんだ。

立て続けに半村作品を読んだけれど、
自分はSF臭さの少ないSFが好きらしい、ってのがわかってきた。
心理描写とか日常生活とか、リアルの延長線上にある感じがね。
神林長平的なガチガチのSFよりも、
小松左京や筒井康隆に繋がる人間臭さ。
その方がしっくり来るんだよな。

かつてSFには
「文学的な面白さを捨ててでもSFらしさを追求すべき」
なんて意見もあったらしいけど、
個人的にはナンセンス以外の何物でもないと思ってしまう。
SF小説は『小説』だろ!
小説は面白くてナンボのもんじゃねーか!
そんなこと言ってるからSFが売れなくなるんだ!
……ってのは言いすぎ?

妖星伝も読みたいんだけど、
文庫のあの凶悪な分厚さを見ると挑戦する気が萎える……(‘A`)

これ系のSFでサクッと読める面白いのあったら教えてくれ。

読書感想『わがふるさとは黄泉の国』

半村良の短編集。
『産霊山秘録』を再読して以来、
半村熱に火が点いたので、
古本屋で買ってきてしまった。

表題作は「自殺村」出身女性の死の秘密を追って、
黄泉の国へと通ずる村へ足を踏み入れた青年の話。
日本神話の内容と絡めながら、
恐ろしくも美しい雰囲気をしっかり出していて引き込まれる。
他人と関わることが非常に下手な主人公の暗い心理描写も良かった。
ある種「あー、わかるわかる」って感じがね、するんですよ(笑)
話の内容も、今の伝奇ホラーと比較しても充分すぎるほど戦える。

『農閑期大作戦』も面白かった。
馬鹿馬鹿しくて、パワフルで、勢いがあって、楽しい。
『庄ノ内民話考』はトンデモ論すぎて笑える。
今から見るとオカルトマニアへのナイスな皮肉になってる。
『わが子に与える十二章』は何とも言えない怖さが心地良い。

全体的に「読んでよかった」と言える。
当たりでした。
やっぱり半村良は面白い。

読書感想『産霊山秘録』

やっぱり面白い。日本における伝奇・SFの大傑作。

歴史伝奇小説ではありながらも、
根本に流れるテーマが
「皆がしあわせに暮らせる世界はないのか」
という普遍的なものであるだけに、
今読んでもグッと来るものがある。

初めて読んだときは興奮して眠れなかったけど、
今読み返すと中盤は少しダレるものがあるな。
明智光秀の時代から飛んで鼠小僧~坂本龍馬のエピソードあたり。
どちらかを削って、代わりに日露戦争の話とかも読んでみたいよね。


ああ、相変わらずオーディオ編集の合間に読書なので、
「読書感想を書いてるってことはマジメに音楽やってんだなぁ」
という感じで読み取ってください(笑)
んー、他の半村SFも読みたい。
けど半村作品はほとんど文庫になってないらしいのよね。